しもばの放浪日記

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UK&アイルランド自転車紀行〜アイルランド2〜

アイルランドの人々は実に優しい。自転車を止めて地図を見ていると、通りかかった車が必ず止まって
"Lost?"(道に迷ったのか?)
と声を掛けてくれる。強風の日に走っていると、農夫のおじさんが
「天気が悪い日はテント張っちゃダメだぞ!」
叫んでいた。前回訪れたときには都会(ダブリン)のみの滞在だったせいもあってか、澱んだ空気を感じてしまったアイルランドであったが、今回の自転車旅行でだいぶ印象が変わった。

スポーツと並んで、この旅で印象に残ったのはやはり音楽文化である。イギリスでは、週末になると多くのPUBでLIVE MUSICをやっていて、ビール代だけでバンド演奏を楽しむことが出来る。スコットランドのネス湖近くで訪れたPUBでは、おっさんがギター片手に歌っていた。ギター以外の音は既成の音が流れているので初めのうちはカラオケみたいなものかなと思っていたが、演者のおっさんの歌声が実に渋い。客もおじいちゃんおばあちゃんが中心で、ときどきリクエストに答えたりする。しばらくすると頭の禿げ上がった別のおっさんが演奏に加わりツインギターに。このおっさんが超絶ギターテクニックの持ち主で度肝を抜かれた。

ひょっとすると、PUB文化が育った背景には天候も一役買っていたのではないだろうか。これだけいつも雨ばかりだと屋内で酒を飲むくらいしかすることがなかったとも考えられる。そう思えるほどこの国のPUBの数は他の国と比べても群を抜いている。スペインあたりも飲み屋の数は多いが、あちらは食事も楽しめるどちらかというと日本の居酒屋のような雰囲気。作物もあまり育たないこの国では食事よりも音楽の方が酒の大事なパートナーだったのかもしれない。もともと酒場に音楽は欠かせないものではあるが、ジメジメして鬱屈とした気持ちを和らげるためにもきっと音楽は重要な役割を担っていたのだろう。

PUBでLIVEが聴けるというのは実に素晴らしいシステムだと思う。この国では、趣味で音楽をやっている人間が表現することのできる場が無数にある。演奏する文化が育てば、それを聴く文化も育つ。当然、それを生業にしている人の数も日本とは比べ物にならないだろう。こうした土壌の上にこの国の音楽文化は成り立っている。言語だけの問題ではない。UKからすごいミュージシャンが登場する背景にはやはりちゃんとした理由があるのだ。

さて、アイルランドで音楽といえばやはりアイリッシュ・ミュージックである。これはイギリスのPUBで聴くLIVE MUSICとはまた一線を画している。ミュージシャン数人がギターやバイオリン、フルート、バンジョー、アコーディオンなどを演奏するのだが、面白いのは演奏者も客と同じ席に付くところである。まるで音楽好きの人々が思い思いに楽器を持ち寄り、隣の席で奏でているような雰囲気。演奏する側と聴く側に分かれた堅苦しさがなく、客もBGMが流れているかのように思い思いに談笑しながら音楽に耳を傾けている。

アイリッシュ・ミュージックの流れるような旋律はアメリカのカントリー・ミュージックにも近いものを感じる。もしかするとアイルランド移民によって伝わったものが異国の地で変化して…といったストーリーがあるのかもしれない。そういう繋がりを想像しながら旅をするのは楽しいものだ。

周りをイングランドやフランス、スペインなどに囲まれた小国。大国に翻弄され、ジャガイモ飢饉で多くの人々が国外に逃れていった小さな国。だが、そういう歴史を持つ故だろう。アイルランドの人々は今でも自分たちの伝統に誇りを持ち続けているように感じられる。面白いのは、それぞれの国の文化は、やはりそれぞれの国民性を反映している点である。イングランドでは、スポーツも音楽もどこか皮肉っぽくエッジが効いているし、スコットランドの伝統楽器であるバグパイプの音色は、哀愁を帯びながらも威厳を保とうとする響きがある。そして、アイルランドの伝統スポーツと伝統音楽。それはどちらも、人々と同様に素朴な温かさに満ち溢れたものだった。

そうしてアイルランドの人々は今日も飲む。酔ったおっさんはアイリッシュ訛りで話しかけてくる。飲んでいるのはもちろん、アイルランド伝統のギネスビールである。

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