しもばの放浪日記

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UK&アイルランド自転車紀行〜イングランド〜
ドイツ→ルクセンブルク→ベルギー→オランダ→イギリス



というわけで、昨年8月より4ヶ月かけてUK&アイルランドを自転車で一周した。その模様をお伝えしたいと思う。

この旅の大部分を通して、一般的に言われている
「イギリスは天気が悪い」
という事実を思い知らされることとなった。なにせ出発したわずか3日後にニュースになるような大雨に見舞われ、全く進めず近くのホテルに逃げ込むという羽目に。なんとも波乱の幕開けである。

「イギリスは飯が不味い」
これも一般的に言われている言葉であるが、ロンドンで過ごしているうちはそれほど気にはならなかった。様々な人種が入り混じった大都市であるからだろう。だから、何かおかしいと感じ始めたのは都市圏を出たあたりであった。料理のバリュエーションが実に少ないのである。
"Fish&Chips"
"Fish&Chips"
海沿いの町ならいざ知らず、海から離れた町ですらフィッシュ&チップスがTraditional Foodとして扱われているのはいかがなものか。味も、まぁ、冷凍食品的なものが多い。なんというか、この国のファーストフードは意外と薄味なのである。塩やコショウ、ソースなどで自分の好みに味付けしろということらしい。店主から
「何かソースはいるか?」
と尋ねられ、
「何もいらない」
と答えると、そんな食べ方して何がうまいのやら…という顔をして去ってゆく。

以前に知り合ったイングランド人と食べ物の話になったとき、イギリスの食べ物には何がある?という質問に
「フィッシュ&チップス」
「ステーキ&エール・パイ」
次に出てきた言葉が
「ケバブ」
であった。それはお前の国の食べ物なのか?

確かに、この国の大都市には様々な国の食べ物が溢れている。中華にインド料理、週末のマーケットではアフリカ料理の屋台なども出る。かつて植民地であった国々から人が流れ込んできた影響だろう。一方で、それらかつての植民地であった国を訪れても、宗主国から伝わった食文化というものがいまいち見えてこない。西アフリカなどでは、お隣のフランスが支配していた国では、どこも美味しいフランスパンを食べることができる。だが、イギリス植民地だったガーナに入った途端、食パンに変わった。そしてファーストフード店が妙にたくさんある。だが、伝えたものよりも逆輸入したものの方があきらかに多いような気がする。

だいたい、魚ひとつを取っても様々な調理法があるわけで、それが「フィッシュ&チップス」一辺倒というのもおかしな話である。湖の集まる湖水地方でも、一般的な魚料理など全くと言っていいほど見かけなかった。パイにしたって、本来なら地域によってそれぞれの食材を盛り込んだ『オリジナル・パイ』があってしかるべきように思うのだが…(あるところにはあるのだろうけど)。『Scampi(エビ)&Chips』というのがあったのでグリルされたエビが食べられるのかと期待して注文したら、フィッシュ&チップスと同じようにエビをつぶして揚げたものであった。

こうして考えると、やはりこの国の人たちは食に対する関心が低いのではないと感じてしまう。スーパーの冷凍食品コーナーの広さには目を見張るものがある。テレビの料理番組では、『何秒でオムレツが作れるか』を競う恒例のコーナーがある。言うまでもなく、重要なのは「いかに速いか」ではない。そもそも、この国が起源とされる『サンドイッチ』にしたって、
“食べる暇があったら遊びたい”
という一心から生まれたわけであって…。一方で、いかに骨やら殻やらを取る手間なく食べることが出来るかという点においては、並々ならぬ情熱を注いでいるように思える。



そんなことを考えながら、運河沿いの道をひた走る。運河をエンジン付きのボートで旅している人が多いのには驚いた。キッチンも備えられていて、さながらキャンピングカーのように移動生活できるらしい。こんなにも運河が張り巡らされているとは、実際走ってみるまでは知らなかった。ある意味、かつて産業革命で沸いた国を象徴するものであるとも言える。博物館などへ行っても、“産業革命コーナー”の力の入れ方は見事なものだ。ヨーロッパの片田舎に過ぎなかった国の国力を飛躍的に発展させた、文字通り革命的な出来事だったのだろう。これだけ増えたフィッシュ&チップスの店も、産業革命時に運河から届いた魚を、運河を航行する船乗りにテイクアウトで売り出していたのがきっかけだったということだ。

ひょっとすると、産業革命とこの国の食文化には切っても切れない関係性があるのかもしれない。大量生産、大量消費の名に恥じない冷凍食品の充実振り。手間を省くことに情熱を傾けるその姿勢。
「海がないのにフィッシュ&チップス」
なのではない。
「海がなくとも変わらぬ味のフィッシュ&チップス」
このことこそがこの国の誇りであり、アイデンティティなのではないか。そう思うに至ったのであった。そういうことなら『Traditional Food』という言葉も頷ける。


日曜の昼にPUBで出される"Sunday Roast"。


教会の庭で行われていたティー・パーティー。
このように、豊かな食文化がないわけではない。
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