トルコ
↓08.25
ブルガリア
↓09.09
ルーマニア一週間もするとイスタンブールの町にも慣れてきた。他の中東の国々を経由してくるとあまりの欧州色に驚く、という話を聞いてはいたが、一方でもちろんイスラムならではの光景にも出会うことができる。朝5時にアザーンの声が鳴り響く。モスクへ早朝散歩に行くと礼拝にやってくる人々の姿が。イスタンブール滞在中にラマダンに突入した。観光客も多いこの町、昼間でも堂々と飲食店が営業している。確かに他のイスラムの国々に比べればあまりにも緩いと言えるだろう。だが、それでもやはり敬虔な人は敬虔なのだ。夕方、モスクの近くを通り掛かると人々がピクニック気分でお弁当を広げていた。その姿を眺めていたらスイカを一切れくれた。皆と共にラマダン明けのアザーンの音を待つ。何だかんだ言ってイランあたりでもラマダンの夜はお祭りだったのを思い出した。
ブルガリア。初の東欧突入である。旧共産圏。急に中央アジアのキルギスあたりのような景色が広がっていたのは実に興味深かった。曲線を排した威圧的な建物が並ぶ。道をおんぼろのトラムが走る。最も圧巻だったのはヴェリコ・タルノヴォという古都にある通称『UFO』と呼ばれる建物。社会主義時代のプロパガンダ的施設が山の頂に建てられていたのだが、今は廃虚となったその内部に侵入できるのである。中へ入ると血の跡のように赤いシミが点在している。それらは全て赤い布であった。かつては床中にレッドカーペットが敷き詰められていた、その残骸だったのだ。時代が近いからこそだろうか。古代遺跡などを見るよりもずっと『一つの時代が終わった』という実感を肌で感じられるような気がした。
ルーマニアの首都ブカレスト。土曜日の公園に立ち寄ると、オーケストラの生演奏をしていた。老人達がベンチに並んで耳を傾けている。この国もまた、わずか20年前に革命を経験しているのだ。それを感じさせられぬほどに、その日の公園は実に穏やかな陽気に包まれていた。