しもばの放浪日記

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消えた日本人、増えた日本サポーター(日本×パラグアイ@プレトリア)
デンマーク戦から一夜が明けた。泊まっていた宿でも日本代表を賞賛する声が。
「今大会のベストゲームだ」
「あの2本のフリーキック、何なのあれ!?」
大会が始まる前は
「日本?W杯に出てるの?」
そんな扱いだっただけに、気分が良いことこの上ない。裏でやっていた『オランダ×カメルーン』がほぼ消化試合だったのも幸いだった。そうでなければどれだけの人が『日本×デンマーク』にチャンネルを合わせたことか。デンマーク戦直前のスタジアムにて
「ここまで来たら買うしかねーだろ!」
と、日本のユニフォームを購入。以前は
「なんだこのヘッポコユニフォームは!」
大っ嫌いだったのだが、チームが勝ち進むと不思議と誇りを覚えるものだ。
「俺は日本人だぞ!」
アピールするには格好のアイテムである。欧州でもアフリカでも、アジア人だというだけで小馬鹿にするような態度を取られることもあった。だが、今だけは違う。それを着て町を歩いていると色んな人から声を掛けられる。
「ホンダは素晴らしい選手だ。どこのクラブでプレーしているんだ?」
何人の人に聞かれたことか。

ラウンド16に合わせプレトリアへと移動。なるほど、ヨハネスブルクの衛星都市(というかこちらが首都)だけあって、今まで訪れた町とは微妙に空気が異なる。危険な匂いを感じさせる人間が多い気がするのはただの思い込みだろうか。まあ、夜に一人で出歩かないなど普通に気を付けてさえいれば特に問題はないのだろうが。

プレトリアはアルゼンチン人が跋扈していた。それもそのはず。泊まっていた宿のすぐ裏手がアルゼンチンチームの合宿所になっていたのだ。すぐそこにマラドーナやメッシがいるのかと思うと何だかすごい。おかげで、『ドイツ×イングランド』という好カードを観にバーへ行ってもほとんど人気がなかった。皆その夜の『アルゼンチン×メキシコ』を見るためにヨハネスブルクへ出張しているのである。

『ドイツ×イングランド』戦術的なことは良くわからないが、イングランドにはガッカリさせられた。なるほど、ルステンブルクでのイングランド人の言葉は的を得ていたように思う。若きドイツとのモチベーションの差は明確だった。2点目の幻のゴールなど関係ないと思えるくらい、終盤のイングランドには勝とうという気合が感じられなかった。

それにしても、今回の日本はつくづく幸運が重なったと思う。大会前の親善試合、イングランド相手に善戦したことで日本代表のムードは変わったという。そのときにはイングランドの不調はまだ浮彫りにはなっていなかった。初戦のカメルーン戦も同様だろうか。グループリーグ突破も、オランダがデンマークを"2-0"で下してくれたおかげとも言える。勝利以外には後がないデンマークが前掛かりになったからこそ、あれだけの快勝が生まれたのかもしれない。システムを一新したのが大会直前だったことも結果的には功を奏したのかもしれない。ずっと同じ戦い方をしていたらとっくに研究されていてもおかしくなかった。ロッベンが3戦目まで出られなかったのもラッキーだった。数え上げればキリがない。更にはイタリアがグループリーグでコケるという幸運。ラウンド16の対戦相手はパラグアイに決まった。日本はこの好機を生かすことが出来るのか?

ドイツでのW杯には参加していないのでどれほどの違いがあるかはわからないが、驚くほどに町で日本人に出会わない。ブルームフォンテーンでのカメルーン戦前日、市内観光バスの運転手は
「なんで全然日本人が来ないんだ!?」
と頭を抱えていた。
「大丈夫。明日になればたくさん来るから」
と答えたとおり、試合当日のスタジアムには多くの日本サポーターがいた。だが、翌日にはまた忽然と姿を消していた。もちろんいるところにはいるのだろうが、不思議なものだ。

しかし、それもまた楽しいのである。もちろん出会う日本人もいるにはいる。そういう連中は行動パターンが似ているので何度も再会することとなる。どんどん顔見知りが増えてゆく。日本人に限ったことではない。ブルームフォンテーンで会ったブラジル人にもここプレトリアで再会。更には西アフリカを旅行中、マリで出会ったニュージーランド人にもばったり再会。これにはさすがに驚いた。

パラグアイ戦当日、スタジアム近くにあるバーが集まる広場(巨大スクリーンが設置されている)へ。考えることは皆同じ、スタジアムへ行く前に一杯やろうと多くの地元民で賑わっていた。だが、またしても日本人の姿は見当たらない。しばらくすると、パラグアイサポーターが現れた。広場中心に陣取り歌い始めたので、中へ飛び込み、ブブゼラをサムライソード代わりに叩っ斬ってやった。拍手喝采。周りが日本人だらけという状況ではこういう調子こいたこともなかなか出来ない。

スタジアムでも、これまでの三戦と比べ日本人の数はガクッと減った。それはそうだろうと思う。一体どれだけの人が今回の日本代表のグループリーグ突破を予想・期待していただろうか。多くの日本人がすでに帰国の途を辿ったのだろう。数週間の休みしか取れないならばグループリーグに合わせて訪れる。同じ立場なら自分だってそうする。

だが一方で、会場は日本を応援するムードに満ちていた。日本にまつわるコスプレの数々。多くの地元民、外国人が顔に日の丸をペイントしてくれている。こんなとき、子供でも簡単に描くことが出来る『日の丸』という国旗はとても便利だ。中には、勘違いして中国式の服や帽子を纏った人も。すでに敗退が決定してしまった南アの人々の立場から察するに、より位が低い側を応援しようという気持ちもあるには違いない。ともあれ、日本のグループリーグ突破という事実は、予想以上の反響をもって受け入れられたようだ。









今回初めて、日本サポーター席のすぐ側で試合を観戦した。だが残念ながら、一部の日本人サポーターの姿は自分には受け入れ難いものだった。どんな試合にも日本を応援するため駆け付ける。それは評価すべきだと思うし、自分たちの応援を周りの人たちに広げたいという気持ちもわかる。だが、現地の人々が自分たちの調子で「ニーッポン!ニーッポン!」と叫ぶ姿を妙に醒めた視線で見ていたのには強い違和感を覚えた。デンマーク戦でのスタジアムで体感した異なる文化の融合。それがこの席では感じられなかった。自分のスタイルは人に押し付けるくせに他の文化は認めない。それでは宗教と同じではないか。素晴らしい試合であれば自然と熱狂は生まれる。ならば応援を“仕切る”人間など必要なのだろうか。それもまた日本の文化とも言えるのかもしれないが。

渋い敗戦だった。PKともかくよりも、結局は最後まで『決定力不足』という課題が付いて回ったということだろう。自分としてはスペイン相手に華々しく散るところが見たかった。残念だが、結果は結果だ。しかし、終わってみて初めて『4年』という年月の重みを感じる。この興奮にまた出会うには少なくとも4年を経なければならない、そう思うと途方もなく長い。だが、今回この場に居合わせることができた喜び。それも改めて噛み締めるべきだろう。W杯に向かうと決めたときには、これだけのドラマに出会えるなど想像だにしていなかった。フランス人よりもイタリア人よりも(そして恐らくイングランド人よりも)、日本人は今回のW杯を楽しむことが出来た。そのことは紛れもない事実だろうと思う。いつの日か、
「日本戦!?ビッグゲームじゃねーか!見に行こうぜ!!」
そんな外国人の姿が増えてくれれば言うことはない。

ヤケ酒がてら、その日の夜も同じ広場へ。日本代表に向けた言葉か日本サポーターに向けた言葉かはわからないが、
「負けて涙を流すなんて素晴らしい。欧州や南米の国はそこまで悔しがることなどできない」
と言われた。そんなこともないだろうとは思うが、まあ確かに、『負けを噛み締める』というのはアジア的な行動文化であるかもしれない。自分の日本代表に対する想いは涙を見せるほどには至っていなかったのもまた事実。日々精進を重ねていかねばなるまい。



その夜の広場にも日本人の姿はなかった。だが、
「一緒に写真を撮ってくれ」
地元の女の子に次々とねだられるのでなかなかおいしい。こういう機会を増やしてもらうためにも、日本代表には今後とも頑張って頂きたいと切に願う次第である。
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