しもばの放浪日記

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戦慄のナイジェリア(後編)
ベナン
↓03.30
ナイジェリア


初めて賄賂の要求に遭ったのはコートジボワール入国の際だった。噂には聞いていたものの、経験のないことだったので想像していた以上に焦ってしまった。もちろん払いはしなかったが内心相当ドキドキしていた。そのくせ荷物チェックなどは一切なし。通過するコートジボワール北部には武装勢力もいるらしいのに……おまえらやってること間違ってるんじゃねえの?なんだか無性に腹が立った。だが、そんな賄賂請求も数をこなすうちに慣れてしまうものだ。ついつい当然のごとく考えてしまいがちであるが、選挙が公正に行われたり、不正が不正として問題とされること自体が、実はとても幸せなことなのだと思わざるを得ない。

ナイジェリア国境へ向かう頃にはもう随分と気持ちは落ち着いていた。行くと決めてしまった以上ジタバタしてもしょうがない。何か起きたらそれはまたそのときだ。

国境のイミグレーションの前にズラリと机が並んでいるのを見たときは笑ってしまった。どうやらこれを全てクリアしていく必要があるらしい。まずは一つ目のカウンター。イエローカードのチェック。アフリカ諸国を周るときには黄熱病の予防接種の証明書が必要となるのだ。
「黄熱病しか打ってないじゃないか」
は?それだけ打ってれば十分です。無視して次へ。

「どこから来た」
ここにいる以上ベナンから来たに決まっている。
「ベナンの前はどこだ」
「トーゴ」
「その前はどこだ」
「ガーナ」
「その前は?」
延々と尋ねてくるので延々と答えていった。根負けしたのか次のカウンターに通された。

ここでもまた質問攻め。
「職業は何だ」
ここは「学生」と答えておいた方が無難。住所やら渡航目的やら色々と聞いてくる。
「で、私に何をくれるのかね?」
言ってきたので
「お前の職業は何だ」
と逆に聞き返してやった。
「おじさん仕事してるでしょ。お金あるでしょ」
やれやれ、といった感じでようやくイミグレーションの窓口に向かう許可が下りた。やれやれじゃねえだろ。

パスポートスタンプを押される際にもおばちゃん職員が
"Give me money"
笑って"No"と答えたら笑いながらスタンプを押された。その先にも空席の机がいくつかあった。素通りしていいのかな?迷っていると向こうからおっさんが飛んできた。
「ドラッグなど持っていないか?」
あほらし。

こうしてようやくラゴス行きの乗合タクシーに乗車することができたのだった。国境からラゴスまではわずか二時間。その間も検問の数が半端なかった。棒の先にスパイクを取り付けたタイヤ止め(無視して通過しようとする車をパンクさせるため)やゴルフのドライバーを手にした警官が道の先々に立っている。もちろん兵士も立っている。車が近付くとドライバーを構えフロントガラスを叩き割るジェスチャーをして停めさせる。今まで訪れたどの国よりも殺伐とした雰囲気。同乗していたおっさんに
「検問多すぎじゃない?」
と言ったら
「セキュリティーのためだ」
いや、まあ、そりゃわかるのだけど。おっかない。



ラゴス。西アフリカ最大の都市ラゴス。旅行者の間では南アフリカのヨハネスブルグ、ケニアのナイロビと並びアフリカ三大危険都市の一つと評されるラゴス。もちろん、あくまでも『旅行で訪れるような都市の内では』というに過ぎない。もう旅行もできないくらいに危険極まりない場所はそれ以前の問題だ。

そんなおっかなびっくり訪れたラゴスであったが、人々は優しかった。タクシーを降りた後も、その同乗していたおっさんが中心部へ行くバスまで案内してくれた。泊まる予定だった宿が改装中で閉まっていた。途方に暮れていたら、周りの人達が親切に他の宿の場所を教えてくれた。『噂ほど危険な感じはなかった』というのは本当だな、と思った。確かに、街の中心へ踏み込んでいくと人や車がごった返し、ものすごい喧騒だ。あらゆる方向から視線が刺さるので緊張もする。もちろん胡散臭い奴もいるにはいる。だが、英語で会話が出来るのは非常にありがたかった。そのへんの屋台で飯を食っていたら、
「アラブ人はともかく東洋人がここで飯を食ってるのを見たのは初めてだ」
と、やけに喜ばれた。自分としても、日本のローカルな定食屋で黒人が美味そうに飯を食っていたらなんだか嬉しいような気がしないでもない。飲み屋で談笑もした。バイタク(バイクタクシー)に乗っていた時、前を走るバイクが携帯電話を落としていった。バイタクの運転手がそれを拾い、必死で追いかけ届けてあげた。いいシーンを見たなと思った。

当初びびりまくっていた反動もあって、実に楽しい滞在となったナイジェリア。実際に訪れてみて本当に良かったと今では思う。もし今回迂回ルートを取っていたなら、どんな場所なのかもわからないまま、一面的なイメージだけで怖れを抱き続けていたに違いない。もちろん、本当に一瞬通り過ぎただけのことだ。何を語れるということもない。もしここに「住む」ということになれば危険に遭う確率もグンと上がるだろうし、ダウンタウンにはやっぱりびびって踏み込めなかった。それでも、当たり前のことを当たり前のこととして改めて気付かせてくれたというのは大きい。外から眺めてあの国はどうだ、こうだというのは簡単だ。だが、そこにはそこで人々の生活がある。どこにだって良い人間もいれば悪い人間もいる。ただそれだけのことなのだ。

能書きが長かったが、つまりは
『案ずるより産むが易し』
ということだ。もちろんそれは結果論である。

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